【第62回】 《2006年8月》

   平成8年、テレビ東京で『丹波哲郎の不思議世界』が放送されました。
   この番組は、ゲストの不思議な体験を聞き、丹波哲郎が解説していく内容でした。
   番組の内容を日本文芸社から出版しました。(絶版)
  
『本当にあった霊体験・臨死体験17人の証言』というタイトルです。
   その17人の体験談を、抜粋し御紹介していきます。

   以前も一部御紹介した内容もありますが、再度詳細に掲載していきます。
   対談形式ではありませんが、お許し下さい。


  
       幽体は生霊となって瞬間移動する

            故・池田貴族さんの体験〜


     
 人間につきまといワルサをする地縛霊・浮遊霊


        
霊の妨害があって恋愛はむずかしいですよ

丹波
 霊には善霊だけでなく、悪霊がいる。あの世とこの世の境目をウロウロする地縛霊、浮遊霊がそれであり、人間に取り懸く憑依霊もまた悪霊である。

 いわゆる金縛り現象も悪霊の仕業にほかならない。こうした悪霊はすべて低級霊というべきもので、人間につきまとうばかりでなく、さまざまなワルサをしてわれわれを苦しめる。

 故・池田貴族さんの場合は、本人ばかりか身近な人たちをも巻きこむという点で、やっかいな例だといえよう。


池田 「貴族さんの家にはこういう霊がいます、という内容の女性からのファンレターが一同時に三通くらいきたことがあるんです。まったく別の地域からのもので、その霊が貴族さんの恋愛を妨害していますと断定的に書いてある。

 事実、ホントに妨害があったんです。僕の家に女の子が遊びに来ると、その子が必ず金縛りにあったりとか、彼女の背中を突ついたりするわけですよ。最初は、僕がいたずらしているのかと思ったらしいんですが、しつこく突つくので、さすがに気持ちが悪くなって『私、帰る』と言って帰られたことが何度かありましたね。

 見晴らしのいい場所に車で連れて行って、いざ口説こうかなと思った瞬間に、現れたこともあるんです。

 その日は雨が降っていてワイパーをつけていたんですけど、じゃまなので止めたら、何かがサッと下がってきた。雨じゃない。髪の毛がフロントガラスにダラッと流れて、手がいきなり出てきたんです。これは僕だけしか見えないんだろうなと思ってふっと横を見たら、彼女はもう金縛り状態ですよ。ガクガク震えているんで、もう口説くどころじゃなくて、帰ってきましたけどね。

 そういうケースはけっこうありました。だから、恋愛はむずかしいですよ。ですけど、心霊ミステリースポットヘ自分で行っているんで、しょうがないなとは思ってますけど」




        
霊を引きつける体質は貴重な能力の一つ

丹波
 池田貴族さんは、仕事でミステリースポットヘよく行くということに加えて、本人が霊を引きつける磁石を持っているために、どうしても霊を呼び出してしまいやすいのだ。それは本人が好むと好まざるとにかかわらず、持って生まれた能力だから、受け入れていかざるをえない。


池田 「霊体験はうちの家族みんなにあるんです。母も霊感が強い、父も真言密教の僧侶で霊能士のようなことをやっていましたから。

 僕自身、霊感や超能力は運動神経の一つという感覚でとらえています。運動神経も遺伝するじゃないですか。足の速いお母さんの子供は足が速かったりするので、それと同じことでとくに不思議はないなと思っています。
 ただ、ロックミュージシャンでデビューしたのに、気がついたら〃心霊の池田貴族〃ということになったのは最初、抵抗がありましたけどね」


丹波 われわれは三つの本能的なものを持っている。それは食欲、性欲、そして自己防衛能力だ。
 自己防衛能力は、霊能力ともいう。一番大切なことは、自分の肉体には自分の魂だけ入っていればいいわけで、よけいな魂が入ってきてはいけない。たとえぱ、紫外線を防ぐためにオゾン層が地球の表面を取り巻いている。そのオゾン層があるために紫外線を防いでくれるわけだ。
 それと同じように、人間にも一つの力があって、自分以外のものが体に入りこまないような、網みたいなものがある。その網が薄かったり、どこかで破損している場合は別の魂、すなわち霊が近寄ってきて、さらには体の中に入りこんでくるということになる。

                                            (つづく)