2006年新年号のお客様

    池口惠觀(いけぐちえかん)さん (真言密教・伝燈大阿闍利)


 【第58回】 《2006年1月〜》

   平成8年、テレビ東京で『丹波哲郎の不思議世界』が放送されました。
   この番組は、ゲストの不思議な体験を聞き、丹波哲郎が解説していく内容でした。
   番組の内容を日本文芸社から出版しました。(絶版)
  
『本当にあった霊体験・臨死体験17人の証言』というタイトルです。
   その17人の体験談を、抜粋し御紹介していきます。

   以前も一部御紹介した内容もありますが、再度詳細に掲載していきます。
   対談形式ではありませんが、お許し下さい。


  
       霊界から送られてくる強烈な通信

            池口惠觀さんの体験〜


      
  お通夜の出来事は母の言ったとおりでした

丹波 「全てが現在」という霊界の時間感覚を知れば、未来予知が不思議でも何でもないことがわかる。

 霊能者、つまり霊媒体質の人は、それが強ければ強いほど、この時間感覚による霊界通信に敏感に反応するわけだ。

 ある人にもともと備わっている霊能者に、何かを通じてさらに磨きがかかるというケースがある。たとえば、密教の行などはその典型と言ってよい。

 真言宗の
伝燈大阿闍利(デントウダイアジャリ) と言えば、もっとも位の高い僧侶である。池口惠觀さんは、その伝燈大阿闍利。百万枚護摩行という命の保証もないという壮絶無比な行を経てその位にのぼられた方である。

 池口さんには貴重な話をたくさん聞かせていただいたが、その中で未来予知については、母上のお話が示唆に富むものであった。


池口 「私の母も、夜の12時から朝まで行をする人でした。この修行のおかげでしょうか、先のことがよくわかっていましたね。

 母が亡くなる前のことです。
 『私が亡くなるときは、雷が鳴って雨が降り出す』と言っていました。
 実際にそうなったのですが、ほかにもこんな細かいことまで告げていたのです。
 それを聞いたのは、娘婿でした。

 自分のお通夜の光景を語った後、娘婿に『あなたの前の人のところまでしかお酒がまわらないけど、ごめんなさい』と言ったのです。

 お通夜の当日、その場の光景は母の言ったとおりでした。さらに、娘婿の前の人でお酒が切れたというのも事実だったのです」




       未来が見えるのは不思議でも何でもない

丹波池口大阿闍利の母上の予言とその的中は、格別驚くにはあたらないことだ。母上ほど行を積んだ霊媒体質の方であれば、その程度のことは、当然なのである。

 なぜなら、たとえ霊能力に乏しい、もしくはほとんどないという人でも、やりようによっては、自分の未来を言い当てることができるからだ。これについては実例を紹介しよう。

 その人を仮に「Oさん」としてみよう。
 このさんに、退行催眠をかけて年齢をどんどん下げる。さんの幽体が、今の自分の肉体に入るところまで下げる。そして、自分の人生を語らせるのである。これをテープに録音する。

 人間の人生は、霊界で決められたとおりのプログラムで進むから、やがて幽体は、現在のさんの年齢を過ぎて彼の近未来の人生を語りはじめる。予言は、1年先、2年先、あるいは3年におよぶことも珍しくはない。

 そしてこの近未来の予言は、ことごとく的中するのである。池口さんの母上の予言について、私が「驚くにあたらない」と言った理由がこれでおわかりだろう。

 ここで一言お断りしておかなければならないことがある。
 私が「実例」と言ったことでもわかると思うが、
さんのような実験は、実際に行われたことがある。また、今後も行われる可能性はある。当然ながら、実験の是非は問われなければならない。その際、注目しなければならないのが、実験する側の姿勢と事後の対処の仕方である。

 この種の実験は、これは、あくまでも霊界の研究を目的にしたものである。決して興味本位のものではない。

 従って、一般には当然のこと、さん自身に対してもテープが公開されることはない。さらに、実験中に生まれた記憶も覚醒する前にすべて消してしまう。自分がこれからたどる人生がどんなものなのかわかってしまったとしたら、これほど味気ないことはないからである。

 このように実験への真摯な姿勢と事後の対処がきちんとしてさえいれば、実験を行うことに支障はあるまい。この実験で霊界研究がいっそう進めば、協力者であるさんも、その結果にきっと満足してくれるにちがいない。
                                             (つづく)