第47回 ゲスト ダーティ工藤さん (映画評論家・監督)


 【第47回】 《2004年9〜10月号》

   この春出版した『大俳優 丹波哲郎』(ワイズ出版)の中で、霊界研究に触れた
   部分を多少修正して御紹介しています。
   対談相手は、この本を編集した「ダーティ工藤」(映画評論家・監督)さんです。



       霊界の宣伝マンと霊界映画 癸


 先月は、霊界映画『大霊界』の制作の裏話を掲載しました。

工藤 今後、霊界映画制作の予定はありますか?

丹波 具体的な予定はまだありませんが、霊能者『長南年恵(ちょうなんとしえ)』さんを映画化できればと思っています。この映画は是非撮ってみたいですね。
 彼女は、文久3年(1863年)鶴岡に誕生し、明治40年(1907年)死去した。
 とても人間とは思えないんだ。
 まず14年間食べない、飲まない。留置されたのが2度。最初は明治28年7月より60日間山形県監獄。2度目は明治29年10月10日より7日間再拘留された。
 理由は、世を騒がす奴だと。どういう風に騒がせたかというと、北は北海道から鹿児島に至るまで、いろんな病人がその長南年恵さんのところにお伺いして病気を治してもらう。その確立は、100人みた場合、治らないのはせいぜい5人未満。
 『ルルドの泉』の奇跡っていうのがあるね。あるフランスの少女が洞穴に入って泉を発見する。その泉は今まで多くの身体障害者を治してきた。だから天井に2万本からの松葉杖が今でも飾っている。それにちょっと似ている。
 ところが、彼女の場合は患者が自分でビンを持ってこさせるんだ。そして蓋を閉めさせるんだ自分で。それを何十本も一斉に目の前に置いて、何事か思念するんだ、彼女が……。
 そうすると下から湧いて来るんだね。その湧き上がる液体(御霊水)は、一本一本全部色が違う。
 彼女はビンには触れていないんだ。ただ念ずるだけ……。それを飲むと病気が治る。こうしたことで、明治時代に大騒ぎになってしまった。そして、世を騒がす者ということで逮捕されちゃう。
 彼女は14年の間、一切食べない、飲まない。留置をされた間も当然何も飲食しない。

工藤 えっ水も全く飲まなかったのですか?

丹波 そう、水も飲まない! 
 それで拘留、警察の方では困ってしまったそうだ。
 拘留の理由は「人の病気を治す」ということの騒ぎだから、悪事じゃあない。治った者が長南さんを心配して警察に詰めかけてくる。おまけに一切飲食物を口にしない。それで警察もすっかり困ってしまった。
 長南さんは「あなた方がそんなにお困りならば……」という理由で、生の「さつまいも」を50匁(もんめ)、それから生水少々だけを口にした。決定的なのはトイレだ。一切出さない。もう人間じゃあない、霊人だ。(1匁=3.75g)

工藤 長南さんは何で亡くなったんですか?

丹波 原因不明。ただ自分で予告している。「20日後に死にます」というふうに……。
あとスウェーデンボルグはやはり予告している。その予告を手紙にして100通残したんだ。その内の一通が大英博物館にある。
 このように霊能者にとっては、自分がいつ生まれて、この世を引き上げるのはいつかということが、ほとんどわかるんだね。長南年恵さんの場合は、20日後に正確に死んだ。

 彼女は小柄な人で、蚊も彼女だけは刺さない。で、死んだときに裸にして洗うじゃない。そのとき見た目の年齢が15・6歳。死んだ実年齢が44歳だった。
 また彼女は富士山が大好きなんだ。生涯で3度登っている。一緒に信者が登るわけだ。ところが彼女に追いつけないんだ。当時の登山道具はかなり重い。今のように山小屋もないので、布団なども持って行かなくてはならない。彼女は飛ぶように登っていったのだ。

工藤 すごい人がいたんですね。それで、彼女の映画を作りたいと思ったわけですか?

丹波 そうです。『死』というものはない。死に変わるべき物は『変化』。要するに
この世に生きて来てどんな旅人でも、むこうへ帰って得意になるのは、いい『おみやげ』を持って帰った時だ。
 私がこの世からにむこうへ帰ったら、待っている者は何万人、何十万人いるのかわからない。その者たちに対する『おみやげ』なんだ。
「帰ってきたよォ」と言って、相手方はどういう状態にいるかというと「光」。光の固まりか、光の何かだな。だから臨死体験した者が異口同音にいうのは、みんな光だな。
 その光というのは太陽があって太陽の光が当たって輝いてるんじゃなしに、光なら光、一つ一つが勝手に光っている。だから光り方が全然違う。きれいなのかもしれないね。まだ出会ってないから私は分からないけども。だから向こうへ帰るに当たって、死に損なった者はことごとく残念がってるよな。そうすると『死ぬ』ということは場合によっては楽しみかもしれない。それは自分のやったことの見返りだろうな。

工藤 丹波さんは死ぬことが、ある種楽しみなんですか?

丹波 楽しみなんだよ(笑)。それ言うと怒られちゃうんだよ。

工藤 葬式に行かれるときは、その事は一応口にしないというわけですね。。

丹波 そうそう、余計なこと言えないんだよ。怒られちゃうからね(笑)。

工藤 それにしても丹波さんの霊界研究も長いですね。

丹波 私の大目的というのはね、霊界の存在、即ち『死』というものはないんですよ、ということを知って欲しい。
 そうすれば心に余裕が生まれる。心の余裕というのは、人の為に尽くすということが、ごく当たり前に考えられてくる。人の為に尽くすということは、何と自分に返ってくる。たとえ、この世で返ってこなくてもいいんです。

 だから霊界銀行に貯蓄できるのはそれだけなんです。人の為に尽くしたという実績だけしか、霊界銀行に貯蓄できるものはない。現界における地位も金も名誉も、そんなものは、向こうに行ったら木の葉も同様。もっと簡単に説明すれば、時間に余裕があったら、人に道を譲ってやるなんて、今まで人にやったことのないようなことまでゆってしまう。そうするとね、生命が永遠だからね。
 大霊界というのが向こうにあって、向こうが実体で人間界は影みたいなものだということが分かる、ということが世界平和につながるんですよ。
 私の大目的というのは、この日本だけのものではない。全人類が手をつないでお互いにケアし合って、自然破壊しないで、人間が諸動物、植物、鉱物にいたるまでケアをする、というようながけが生まれて、はじめて人間界、地球というものは素晴らしいものになるんです。とにかく霊界には国境がないんです。また今度どこに生まれてくるかも分からない。人類というのは、全部同じなんですよ。だから宗教も当然霊界にはありません。

工藤 すると戦争ほどバカバカしいものはないというわけですね。

丹波 全くそのとおりです。今世界では30ヵ国で戦火が上がっていると聞きましたが、霊的には同じ家族で殺し合っているようなもの。早くその愚かさに気付いてほしいものですね。 
                                            (つづく)