【第44回】 《2004年5〜6月号》


   今月も、学研から出版されたムック本から対談記事の抜粋です。
   『大霊界〜丹波哲郎の世界』というタイトルのこの本は、
   霊界ブーム全盛期の頃のものなのですが、
   その内容は今読み返してみてもなかなか新鮮です。

   1989年2月1日発行(映画『大霊界』が制作された当時)されたものです。
   今回で最終回となります。


        螺旋状の天国への階段にて

横尾
 よく死んだ人の夢を見ることがあるでしょう。
 僕は初めてお袋と語した時、「こんなふうにして話ができるなんて、本当に感激した」という話をしましたら、
 「あなたとは、もうしょっちゅう会っているじゃないか」というのね。
 「どうやって?」と聞いたら、どうやら現世の人に会いたい時は、ある決められた場所に行くと、こちら側は夢としてその死者を見ることができるようです。
このことは御存じですか。

丹波
 いや、知りません。
 そういうことは知りませんけど、毎晩のように夢で、あの世に行っていることだけは間違いない。霊体が出て行く時と、帰って来る時は夢のような形で恐れとか願望とか、そういうものをひっくるめて見る。
 でも、あの世の中に行っている時のことは、全然覚えていない。
 ところが、ある人が、「丹波さんとは年中お会いしているんです」という。「あなたとお会いするのは初めてだけれども」といったら、「いえいえ、四国のほうへ行ったら、螺旋状に巻き上がっている天国への階段の途中で、年中お会いしました」と、こういうんだ。

横尾
 毎晩、夢で行ってらっしゃるからね。

丹波
 年中、もう毎晩行ってる。年中、予行練習しているわけだ。


横尾
 向こうへ行った時に、ショックを受けないための練習をしている(笑)

丹波
 初めの頃の20くらい前は、そんなことをいわれたって、ほんと受け付けなかった。
 ところが、今は「あ、そうですか」ってね。四国の沖から螺旋状を描いて天国へ行く階段の途中でよく擦れ違いましたね、という表現がね、今から考えると、大変ファンタジックなんだけれども、その当時は初期の頃だから、本当に鼻で笑っちゃった。
 この人ちょっとおかしいんじゃないかと思った。

横尾
 すれ違うというのは、僕もある亡くなった友人から聞きました。
 その時も、やっぱり「すれ違う」と。だから、ちらっと見かけたとか、すれ違うというのはよくあるようですね。
 映画の方はどうでしたか。

丹波
 もう特撮が大変でしたね。

横尾
 そうでしょうね。特撮が大部分でしょう。

丹波
 大部分なんですけれども、何と時間にしては30分未満なんですね。
 たとえば山が割れて三途の川が現われる場面があった。10メートルの山を作ってくれという。その10メートルの山を作るのに、オープン(野外)・セットで1億くらいかかったんです。で、使う時間が10秒だという。そんな始末なんです。だから、特撮というのは、いかに金がかかるかと。
 天国の御殿というのは、僕が、「富士山よりも大きいぞ」というもんですから、御殿の一部というのをセットでもって2か月も作っているんですね。ほんの一部ですよ。5秒しか使わないんです。
 どうしようもないね。

 「霊界」とかいうと、宗教臭くてなんていう人もいるかもしれないが、この映画には、宗教のシュの字も出てこなかったことは皆さんの方がよく知っていると思います。

映画を観て、「なに、これが死後の世界?」なんて疑問を持たれた人もいるだろうと思いますけど、あくまでみなさんが死んだ場合に、こうなるという実相に近いようなものを描いているんですから、どうしても地味なところがある。人間界と変わらないから。
 是非見ていない方は、観ていただいて、いろいろ教えていただきたいですね。

横尾
 いやいや、今日はどうもありがとうございました。

                                          (おわり)