美術家 横尾忠則さん


 【第
42回】 《2004年3月号


   今月も、学研から出版されたムック本から対談記事を抜粋しました。
   『大霊界〜丹波哲郎の世界』というタイトルのこの本は、
   霊界ブーム全盛期の頃のものなのですが、
   その内容は今読み返してみてもなかなか新鮮です。

   1989年2月1日発行(映画『大霊界』が制作された当時)されたものです。
   若干、内容を修正して掲載いたします。



            日進月歩の霊界研究


丹波 僕はずっと、「あの世には時間はない」というふうにいっていたのが、だんだん変わってきちゃって……。

 一言で言えば、あの世には時間はないのだが、場所によっては、次のようなことがあるそうだ。

 曜日を色で分けているという報告を紹介しよう。

 日曜日から土曜日まで色で分かれている。
 日曜日は空が真っ白になる。真っ白というか白銀色というか、それに紫の線が一本ピューッと大空に入るんだ。その紫の線が広がってくる。すなわち、空が割れるという現象が起こるんですね。それが月曜日、もう全部が紫になる。紫ばっかり。それに今度、赤い線がスーッと入る。その赤い線が広がってくる。すなわち、紫が割れるということだ。赤の火曜日。

 その次が緑という風に、場所によってはどうも曜日があって、時間というものをあえて作っているところがあるのではと……。


横尾 火曜日が赤で、水曜日が緑で、水に見えるんですね。随分、具象的な色ですね。


丹波 うん。金曜日はまさに金でね、土曜日が白銀色になって、日曜日は真っ白になる。それで、時間が刻々と変わるというのは、建物の色がだんだん変わる。だから、1秒ことにパッパッパッと変わるんじゃなしに、たとえば30分なら30分、1時間なら1時間ごとに、建物の屋根がずっとすだれのように変わってゆく。その建物というのは、たとえば人間界でいえば五重の塔みたいなのが、向こうで五千重くらいの、もうとてつもないもの。五千重というか、ウワーッとこうなっているんだな。その屋根が刻々ブブブブッと変わっていく。日本の人間界のネオンサインみたいに。実際そういうものを見てきたという人を初めは笑ったんだ。そんなのあるかと。

 ところが何人も出てくるんだ、そういうのが。そうすると、何か本当に耳を傾け出して、"いやそれはおもしろいな"ということがまずあって、最後には「そういうふうにあってもらたいなあ」になって、「あるんじゃないか」から「ある」に変わってくるんですよね。だから、霊界研究というのは、もう日進月歩といってもいい。


横尾 そうですね。霊界を学ぶということは、死を学ぶということでもあるし、それは生きることを学ぶことでもあるわけだし、とにかく、人間の意識の領域にメスを入れることになるわけでしょう。だから僕も一番興味がありますね。現実的なものの興味は、もうこれは放っておいてもいいんだけれども、それで現実がよりはっきり明確に分かってくるんですよね。


丹波 たとえば、私の作った大霊界の映画だが、向こうのほうでもって、円卓会議を開いている。どうやって成功させてやろうかと、全議を開いている。


横尾 そういうのは、全く僕もそう思いますよ。




      霊体手術でコンタクトを開始

横尾 僕の神霊の方は、丹波さんをものすごく評価しているんです。丹波さんは僕とは別のレールを走っている。僕はアーチストとして、丹波さんを見習わなければならないところが一つあると神霊の方にいわれたことがあるんですね。それは、丹波さんが信じたら疑わないという、その強い信念ですね。


丹波 ぼくのいい方は断定的でね。人によっては反感をかうらしいんですが、いい方および顔つきが面白いということもあって、わりかた笑って受け入れられるという得なところがあるんです。向こう様が好きなのは、どうも物事にこだわらないというような人間が、一番向くようですね。私自身は、結構こだわるような場合もあるんじゃないかと思いますけれども、第三者から見て、それが特色のようですね。それが、向こう様が私に使命を与えた原因だと思います。


横尾 僕は夢の中で、1970年ですから、いまから19年前くらいですか、その頃からUFOの夢をどんどん見るようになって、宇宙人が現れたりして、一度、3人か4人の宇宙人に、ここの首のところに器具を入れられたんですよ。僕は夢の出来事だと思って、気絶したんです。それが実は、コンタクトが始まってから明かされたんですけれども、われわれと通信しやすくするための波動の送受信装置だったんですよね。


丹波 アンテナだ。


横尾 アンテナ、それだったらしいんです。それで霊体手術したらしいんです。


丹波 ははあ、それは面白い用語ですね。霊体手術ね。


横尾 痛くも何もないんです、霊体ですから。その手術をしたらしいんです。4歳のときに初めてコンタクトを取ろうと仕始めたということなんです。それからずっとやっていて、はっきり現実化したのが87年の5月なんです。いよいよ準備ができたというので、ついに始まったわけですね。

 最初、僕は霊界とは関係なくて、むしろ宇宙人なのかなあと思っていたんですけれども。僕の場合、一番上に神霊がいて、その下に宇宙人がいて、彼らは科学的な方法で僕とコンタクトしてきます。僕の想念を調べたり、行動をチェックしたり、また、日本のありとあらゆる社会の動向も全部把握しています。もちろん、丹波さんのことも調査済みです。そうして、霊界とも関連がある。

 僕の両親は、霊界にいないんです。亜空間という特殊なところで、ちょっと説明が難しいんです。


丹波 御両親がね。


横尾 両親がそろって、土地は彼らが住んでいた西脇というところに住んでいるんですけれども、次元が違うから現実の西脇ではない。

 だけど、季節感が同じだったりする。お正月が近づく頃、「お正月が近づきだしたけれども、お餅はどうした」というんですよ。「お餅はついてないから、近くの農協かどっかでついてもらうけどそっちはどうしてる」と聞いたら、
「お父ちゃんは腰が弱いから、今年はもう、餅はつけない」とかいっているわけです。黒豆は、家で綺麗な黒豆作ったけど、今年は何か煮過ぎて、ちょっと失敗したとかいうんです。季節感が全く同じなんです。だけど時には全く違う時もあるんです。

 それに、僕が東京に行ったきりだと思っているのか、正月には帰っておいで、ともいうんですね。

 うちの親父は、自転車でいまだに商売に行っているんです。ついこの間、たわしを売りにいっているという。


丹波 ハハハハ……。霊界では、衣食住の苦労はないというようにいわれてきたけれども、やはり働かなくちゃいけないんですかね。


横尾 どうも、働いているみたいですね。


丹波 働いているというのは、これはなんというか、一つの人間界で習慣の延長線上で、要するに、衣食住の心配、食べるというのはだんだんなくなるような気がするんですが、どうでしょうかね。

 
横尾 でも、何か家で煮物は作ったりはしているみたいです。寝てもいるみたいです。


丹波 寝てるんですか。


横尾 コンタクト中、もうそろそろ疲れたから寝るといって「お父ちゃんも、そろそろ疲れたから寝るというてはるから、わてもこのへんで休ませてもらう。また元気でな」という挨拶はちゃんとしてね。だから、寝ているんです。


丹波 要するに、全然人間と変わらないわけですね。


横尾 ただ「僕の姿が見えるか」といったら、「今まで見えなかったけれども、望遠鏡みたいなものでのぞかせて見せてもらうことができるようになった」って。


丹波 ほーっ、それは面白い。


横尾 「望遠鏡でこう見るのか」といったら、そうじゃなくって、見たいとお願いするかどうか分かりませんが、周囲が丸くボヤーッとして、そこから見えるらしいんですよ。

丹波 向こうのほうから人間界を見た場合にはそういうふうに……。

横尾
 それで、僕の左肩のあたりにいるみたいなこともいうんですよ。もう一つ、僕が兵庫県で87年の暮れに文化賞をもらったんですよ。そうすると、親父もお袋もすっごい賞だと思って、受賞式に参加したいと神霊の方に頼んだらしいんですよ。それでその日に、行ったんですよ。ところが、僕は車がなかなか来なくて遅刻して行ったんです。そうしたら、僕が遅かったために、会場が寒くて寒くてといってましたから、ちゃんと肉体感覚があるようですね。「神戸まで何で来たの? 電車で来たのか」と聞いたら、何か金斗雲みたいなものに乗せてもらったって。

丹波
 金斗雲みたいなものに乗ってというのはね……。

横尾
 心当たりございます?

丹波
 ありますよ。色とりどりの光のカーペットみたいのに乗っているという話は聞いたことがあるね。それは光で出来ている。だから、絨毯ではない。魔法の絨毯とかではなくて、光で出来ている。

 そして、その人によって光が違う。光が違うということは、速度も違う。そういうのに乗って子供が遊んでいるらしい。大人も乗りますけどね。だから、空中を自由自在に飛び交うというよりも、あっという間にここに移動していたと。

 すなわち、僕がここにおるとすれば、向こうの状況が一発でこう移動してくる。でも、それじゃ面白くもおかしくもない。子供たちは光のカーペットに乗って、どんどん高く飛ぶようになって、まあ手を振ったりなんかして。今のスケートなんかと同じなんです。あれの感じでもって、光のカーペットに乗って遊んでいる。

横尾
 光というのは、何か分かりますね。

丹波
 でも、交通機関というのは、原則としては、思ったところに、あっと行ってしまうということが一番多いんで。

横尾
 何か、想念と行動が一体化しているみたいですね。

丹波
 ああ、そういうようなことではね。

横尾
 ただ、霊界でも個人差は随分あるらしいですよ。霊界に入った人間にもいろいろな個人差があって、経験している次元もそれぞれに少しずつ違うようですね。

丹波
 また、違わなければ、面白くないですね。向こうに行っても、すべてのものが同じじゃ面白くないですよ。
                                          (つづく)