藤子不二雄Aさん
( まんが家 )
写真は藤子不二雄Aランドより複写 
   
 

 【第25回】 2002年9月掲載用
    (今回の対談はテレビ東京『丹波哲郎の不思議世界』より引用しています)


  今月は、予定を変更して、漫画家の藤子不二雄Aさんを御紹介します。
  藤子さんの父親は、曹洞宗49代目の住職で、お寺が開かれて丁度600年目に
  産まれたそうです。
  ですから、小さな頃から「人間の死」とか「死後の世界」を、大変身近に感じていた
  そうです。
  特に「地獄」については、相当強烈な印象があるようです。



               身近な人の死

丹波 藤子さんはお寺の家に生まれたそうですから、死については 身近に感じているでしょう?

藤子 
そうですね。小さな頃からいろいろとインプットされています。家にあった地獄絵などは強烈に 「恐い」 というイメージが強く残っています。だから、いまだに地獄へ行くような気がして、悪いことが出来ないのです。

丹波 仏教の教えは、良いことをすれば「天国」、悪いことをしたら 「地獄」 へ行く。
 この意味では大貢献をしていると思います。


藤子 ところで、三年前におふくろが亡くなりました。親父の命日の朝に、母親が私の手を強く握っ て「親父が呼んでいた。身体が浮いてあっちへ行きかけたのでおまえの手を握って、引っ張ってくれ と頼んだのよ」といっていました。 青い花が咲いている所に行ったともいってましたね。


               三途の川はない

丹波 臨死体験ですね。西洋・東洋とも花が出てくることは共通していますね。臨死体験者の体験共通要素として、そのほかに川の出現があげられます。
 一般に「三途(さんず)の川」といいますが、ヨーロッパでは「忘却の川」といいます。
「三途の川」とは、三途(さんと)の川です。
 一途(いっと)=内 面(想念)、二途(にと)=外面 (内面に応じた行為)、 三途()=11準備(霊界の知識)、あわせて三途の川。
 呼んで「三途(さんず)の川」。
 でも実際はないようです。

藤子 では、臨死体験者がみる川は何ですか。

丹波 川ば至る所にあるんです。まあ、ただの川ですね。本当の「三途の川」は、幽体を脱ぎ捨てて霊体になる時にあるのです。
 順序立てて説明します。まず、「肉体」を脱ぎ捨てると「幽体」 になります。その時2つの道を自己選択します。
 1.もう一度人間界に誕生する。
 2.霊界へ昇って行く こと。
2.を選択した者は、幽体を脱ぎ捨てて霊体になります。そのときに境として「三途の川」があるのです。これは、あくまでも想定です。



              孤独が一番の地獄

藤子 私は小さい頃からお寺にあった地獄絵を見ていますので、そ のイメージで地獄を捕らえています。丹波さんは、無宗教ですから、 どういうものとして地獄を捕らえているのですか?

丹波 地獄には二通りあります。
1.主観的地獄 と 2.客観的地獄です。

1.は自分自身で作り出したもの。
2.は実際に見た地獄です。

 ただ、最初地獄は結構おもしろいみたいですよ。何せ小悪魔の集まりですから。しかし、まもなく一変して相当しごかれるそうです。 彼らは、勢力範囲を広げようと人間界へも来ます。
「善」は他人のことを考えること。
「悪」は自分のこ とだけを考えることです。
 地獄は、 当然「悪」ですから、争いが絶えません。そういう、地獄霊が人間界に来ると自分たちと似たものを探し出しますから、更に人間界では争いが激しくなるのです。

藤子 具体的に地獄とは、どういう所なんですか?

丹波 たとえば、地獄の最もすごい所は孤独地獄です。ここが高いビルの屋上とし手。、から、 飛び降りると2〜3年かかってやっと闇のコールタールの底に到着する程と言われています。その中でたった一人きりで、何万年もいるのです。

藤子 針山とか血の池とか、いためつけられるようなイメージが、 私にはありますが、そうじゃないんですね。

丹波 それは
『※往生要集』の影響ですね。物理的なものではなく、 精神的なものです。でも安心して下さい。そこへ行く人はほんのわずかですよ。

藤子 ああそうですか。ちょっぴり安心しました。


  『※往生要集(おうじょうようしゅう)』
   平安時代中期に、恵信僧都源信(えしんそうずげんしん)という天台宗僧侶が
   著した書物。
   もともとは人間を極楽浄土に往生させるための教えを集めたもの。
   全10章のうち第1章で地獄について記しており、第2章が極楽編にあたる。
   この書物は日本人の宗教観に大きく影響を与え、特に日本人の地獄観は、
   この書物で形成されたといっても過言ではない。
   いわゆる、針の山、血の池地獄のイメージはこの書に源を発している。
   地獄は人間界のはるか下方にあり、罪の重さににしたがって第1地獄から
   第8地獄まであると記されている。




        漫画は霊界から書かされている

丹波 藤子さんは面白い漫画を書いていますね。

藤子 私は、いろいろな漫画を書きましたが、人間の持っている念 ・気持ちを漫画で具体的に表現したいんです。
 恨みや妬み、そして やさしさ・あたたかさなど。良いも悪いも漫画で表現したいんです。

丹波 それらの豊かな発想は、霊界から送られて来ているんですよ。

藤子 えっ、自分で書いているつもりですが、書かさ れているということですか。

丹波 そのとおり。 あなたの本家本元は霊界です。

藤子 何か納得できますね。 私の先生は、手塚治先生ですが、 自分だけの力であんな偉大な作品を次々出すことは、とても出来な いと思っていました。

丹波 そうです。あなたの絵の才能も、あなたが死ぬ瞬間まで、送 られ続けてきますから、心配しな いで頑張って下さい。

藤子 ありがとうございます。 今日は得しました。