美輪明宏さん
(シャンソン歌手、俳優)
横尾忠則さん
(美術家)
江原啓之さん
(スピリチュアルカウンセラー)
   

 
 【第1回】 2000年9月掲載用

 ● 死後の生は実存するか?

丹波 これほど大きなテーマは無いね。人類史を通じてのクエスチョン(問題)です。横尾さんはどうお考えです。

横尾 科学的に解明したり、合理的な説明をする自信はないです。物質的世界でないだけに、証拠を出せと言われても無いんですが、僕が本来持っている因子なのか、魂が知っていると言うのかな、変な言い方ですが……。

丹波 いや、変じゃないですよ。

横尾 死後の生はあるという確信ですよね。

丹波 人それぞれ微妙に違うんですよね。
これは、波動数の変化なのでしょうが、とにかく向こうからの通信の受け取り方が、それぞれ違うね。

美輪 「死後」と言うことが問題なのよ、死なんて有りっこ無いんだから。

丹波 そうだね。

美輪 霊魂は永遠なのだから、宇宙の果てを質問するようなもので、宇宙はどうなっているか科学者は答えていますが、科学って言うのは未熟で野蛮なものでね、水虫や白髪一本治せないのが今の科学で、開発途上な物なの。科学で立証できない物(霊界)と言うけれど、地球の歴史上たかだか百年、二百年の科学で(霊界が)証明されないからなんて言うのは、科学のごうまん傲慢よ。

丹波 その代表が大槻なにがし某
(早稲田大学の大槻教授)ですね。あの人は愛嬌があるから……。

美輪 まあ、あの人はご愛嬌ですかね。中途半端なしたり顔をしている人が傲慢ですよね、何にも判っていないのに。

丹波 ところがね、霊界研究をし出しているのは科学者が多いんだよね。

美輪 だから、アインシュタイン(ノーベル賞受賞・理論物理学者)だってあれだけ行っちゃうと、信仰深いし、神も認めているし、そこまで行かない小物が否定するんですよ。大物は否定なんかしませんよ。

丹波 否定する理由としてもね、研究してから否定するなら良いんだけど、なんの研究もしないで否定するんだ。

美輪 ただ、意地と建て前とめんつ面子だけで言っているのよ。


  ●肉体の生と死、死後の生について

美輪 ずーっと、つながっているのよ。では、肉は何かと言うとタンパク質とカルシウム。もっと細かくしていけば最後は原子のかたまりなわけで、死はその(肉体の)原子を宇宙に還元してバラバラになるだけ。原子、中性子のような未発見の素子が魂と言われている物質だと思うの。
 真珠貝の中に核を入れて真珠を育てるように、女性の体内に、それが入って、十月十日経って生命の誕生というわけなんだけど。それがまた(死んで)バラバラになって、物質はどんな物でもスクラップになり滅びるの。滅びたらそれを取り去って、素子だけのむき出しになるわけ。むき出しになったものは浮遊して、時間、空間も無く何処へでも行けるの。光の速さより速いと思うの。時間、空間が無いわけだから、魂というのは未発見の素子ですよこれは。


 ● それでも人間は死を恐れている

美輪 見えないもの(判らないもの)は、なんだって怖いのよ。

丹波 僕は、車に例えて説明してきたんだ。タイヤが足だよね。エンジンなどが内臓で、ガソリンは血液、ハンドルは脳だね。どんな立派な車でも、それだけじゃ走らないんだ。運転手がいて初めて走るんだ。ロールスロイス(英国の高級車)でも、右へ行くか左へ行くか、ハンドルが決めるんじゃなく運転手が決めることだよね。どんな良い車でも、運転手のマナーが悪ければ、トラックにも劣るよね。運転手の考え方、マナー一つでしょう。
 その車が、人世街道を走って行って、そのうち古くなって動かなくなったら、その車から運転手は降りればいいのであって、運転手は車で勉強したのです。
 ロールスロイスを降り、「次はトラックでも乗ってみよう」と思えば、前の技量(勉強)を生かして次の勉強をするんです。

美輪 二輪車でもなんでも、乗り換えればいいの。古くなればスクラップにすればいいだけで、それが死なのよね。部品が悪くなれば、変えれば良いだけなのね。

丹波 動かなくなったら降りれば良いんだが、運転手(魂)は、運転技量を修業するためだけに車(肉体)に乗っているわけではないんだ。「車に乗って、方々走り回って、いろいろなものを見学して、又、人との縁に触れて、情も湧きました」そう言うことを勉強するために車に乗っているんだ。 われわれが生まれてきたと言うことは、そういう人とのふれ合い、縁というものに勉強の余地を残しているんだ。

江原 私もそう思いますね。私達は、小さいときからそれ(霊)を見ているわけですから……。でも、一般の方の感覚と言うとチョッと違うですね。
 霊を見せたから、霊の世界を認識するかというと、全く違うと思うんです。手品を見ても、心霊的に見えるものも有りますし、魂のことは、魂の眼でないと見えない。肉眼で見ようとしても、この世界に見ることが出来ない。一番皆さんが、霊の世界を気付くと言うことで一番大切なのは、絶体絶命の危機なんじゃないのでしょうかね。

丹波 絶体絶命……。

江原 ええ、そういった時、一番物質も要らない。内容にもよりますが、大病をわずら患った、もうお金なんて要らない。物なんて要らない。じゃあなにをするか…最後に……。 みんな「神様!」て言うんですよ、最後に。その時に本当に自らの魂が気付いて目覚めたならば、そこにパッと光がそそがれることになる。その時に、感ずるものなのです、魂が。

そのそそがれる光というのは?

江原 例えば、きせき奇蹟という形で病気が治されたり、いや癒されたり、又は、そうでなくても非常に安らかな気持ちになって、自らの内なる部分で確信すると言うことです。

美輪 それは、普通の人の場合ですよね。でも、そうなってもバカは死んでも治らないで、強情な人、駄目な人がいるのよね。それでも目覚めない人がいるの。



 ● あちらへ行っても目覚めない人は?

丹波 しばら暫く向こうで眠らせられています。放っておかれているんです。向こうでケア(世話・保護)する人がいないんです。

美輪 知り合いから、大病をわずら患っている友人について助けてくれって電話があったから、神様にお祈りしたの。そしたら、神様は放っておけと言うのよ。「えーっ」と思ったんだけど、治して上げることができたら、治った人は感謝の気持ちもなく、「俺(自分)の力で治った。偶然だ」と言うから、放っておけ。落ちるところまで落ちるまで、放っておけ。そうじゃなきゃ本人の為にならないと言われたのよ。
 それでも、そのうち「助けてやれ」と声が掛かるの。「注意して、こういうふうに言ってやれ」と。でも、そんな人イヤだと思っていると、「役目をいたさぬか」と、私の体が動かなくなってしまって、「わかりました」と祈ることで体が自由になったりするの。

横尾 助ける価値のある人と、無い人と、上から話が有るんですか。

美輪 ちゃんと指令が来るわけですよ。

丹波 助ける価値が有る人と、無い人。

美輪 そうそう。

丹波 じゃあ俺は当分生かされているのかな……。

( 一 同 笑 い )

丹波 横尾さんにこれが僕のラストワーク(最後の仕事)だと言ったら、随分長いラストワークだって言ったじゃないか。
 俺だけなんだよな、霊感が無いのは。三人とも有るのに。

横尾 丹波さんは早く向こうへ逝きたくってしょうがないんですよ。向こうの世界の方が楽しいから。

丹波 そりゃそうだ。

美輪 そうはいかないわよ。だって役目がまだまだ有るんだもの。

横尾 こういう仕事(霊界関係の番組制作)が最後の仕事だと言うから、その仕事は長くなりそうですね、と言ったんですよ。

美輪 丹波さんの前世は、エジプトの神官だったと言う気がするんですがねぇー。


 ● 死への段階

丹波 死ぬということに、何段階か有ります。先ず、死ぬと決まった、自分でも覚悟している時、助かろうと思っていないんだよ、そういう時は。その次に「神様ー」と言い出すんだ。今まで神様って甘いのかい、辛いのかい、何て言っていた不届きなヤツが、「神様ー、神様ー」てつぶや呟くようになるんだ。これを我々は神様との取引と言うんだ。「死ぬのは判ったから、良いところへ逝かして下さい」なんて勝手なことを言うんだ。
 そして、どこかに寄付をしたり、神様にこれまでの悪事を告白したりして、取引をやり出すんだ。この段階でうつ鬱(そううつびょう躁鬱病の鬱)になるんだ。何言ったって返答をしなくなるんだ。この段階で迎えに来た者(お迎えの霊)と衝突(遭遇)することがある。死んだ者との、波長が合っちゃう事が有るんだ。
 例えば、扇風機は押入から出した時、プロペラは完全に見えるよね。コードをつなげてもまだ見える。しかし、スイッチを入れて回転すると、見えなくなる。目が、プロペラの回転につい追ていかないから見えなくなるのであって、プロペラは実在するんだから、すなわ即ち、霊は見えないけど、扇風機のプロペラのようなもので、霊は明らかに実在する。
 例えばだが、五千回転しているのが肉体の無い死者なんだ。我々も服を脱いじゃう(幽体離脱)と部分的に回転し出す場合がある。そうすると、(霊が)見えちゃうんだ。そうすると、逝く(死ぬ)のはイヤだとか言い出すんだ。
 その次になると、今度は良い顔になって来るんだ。そういう者(霊)と出会いが多くなってしまうと、落ち着くんだね。死そのものに恐怖と言うよりも、死を、だんだん理解して来るんだ。結果において、スヤスヤ眠り始めるんだ。だから死んだ者は痛くも痒くもないんだ。眠りなんだ、だから恐れることなどなんにもないんだね。

美輪 じばくれい地縛霊にならないため、キリスト教では、神父がざんげ懺悔をさせますよね。想念が無くなるようにするのよ。死ぬことによって、うら恨みつら辛みがストップモーションになるのを防ぐために、全て話させるのよ。坊さんは引導を渡すと言いますよね。洋の東西同じことをやっているの。昔の人は、それを知っていたということ。あの世は想念次第。死んでも生きているときと同じで、バカはバカ、強情は強情、素直な人は素直ですよね。
 死んで苦しいことを訴えてくる人(霊)には、「あんたの想念がそうしている」と教えるの。そしたら光が見えてきて、周りが変わったと言って来る霊がいるの。自分の想念が変われば、居る所が全て変わるのよ。想念で自分で自分を苦しめたり、救ったりしているの。そういうものなのよ。


 ● 「死んだらどうなるか?」

丹波 霊界の知識が無かった者は、たいがい大概、こどく孤独。これはしばら暫く放っとかれます。暫くと言っても、何万年から何日まで幅がありますが、大体五十日位。言葉のあや文でね、四十九日とはよく言ったもので、その位は放っとかれるんだ。
 病院などで死んでも大概自分の家に帰って来るんだ。そして、何時も自分が居たところに座って居るんだ。「お茶!」何て言っても、誰も返事してくれないんだ。そのうち仏壇に座って、飽きたら部屋の四隅に行ったりするらしいんだが、何うなんでしょう江原さん。

江原 〔辺りを見回して〕四隅に限らず常に(色々な所)居ますね。

丹波 しかし、霊からはこちらが見えるのに、こちらは向こうが見えないから相手にしないんだ。(霊が)話しかけても、体に触れようとしても駄目で……。

美輪 だから、しょうがないから電気エネルギーを使って、ラップ音(叩いたり、割れたり、スパークするような音等多種有り)なんかで、ビシッて起こすのよ。それもエネルギーが要るのよ。森 公子(歌手)なんかは、霊にさわ触ったら触れた(肉体の肉質を感じた)らしいのよ。

丹波 僕の、ロンドンのホテルで寝室に霊が現れた体験でも、確かに肩を押されたのが判ったよ。

美輪 経験(霊体験)が有るんじゃない。

丹波 江原さんに聞いたら、そのホテルはよく(霊現象が)出るので有名らしいんだ。でも、霊界研究の確信のために、経験させてくれたと思っています。でも、その霊は手も足も無かったんだよ。


美輪 森 公子ちゃんの場合は、自殺した人(霊)が出てきたんだけど、その人が言うには、出てくるには幾つか条件があってね、その土地の磁場や磁気、そしてエネルギーがものすごく要るんだって。 だから、集中力が無いと足が無かったり、手が無かったり、顔だけだったりするんですって。それが全部そろった時に出られるんですって。
 それ(伝言)をティッシュの箱に書いておいたんですって。それで、朝起きたらちゃんと書いてあったんですって。だから、(現れるのが)部分的というのは集中力が足りないのよ。

横尾 僕、手だけということがありましたよ。

丹波 この人の話は面白いよ。僕も講演の時に使わせてもらっているんだ。

横尾 いや、これはまだ丹波さんにも話していないかもしれませんが、京都のホテルで朝十時に待ち合わせていて、そろそろ行かなくっちゃと思ったら、ベッドの脇におかっぱの小さな女の子が赤い着物を着て、立って居るんですよ。 着物の柄が古い柄ですよ。昭和の初期とかの……。なんか間違って僕の部屋へ入ってきたのかと思ったら、もう一人居ると言うことに気が付いたんです。
 壁のコーナーの天上に、男の顔が有るんです。「うわー、大きな外人が僕のベッドの上に立っている」と思ったんです。女の子とこの男は親子で、僕が夜に外へ出て、他の部屋へ間違って入って、親子が怒っているんじゃないかなんて、あんまり論理的じゃないことを思って、なんとか僕自身の、リアリティを取り戻そうとしているわけです。
 そしたら、左の壁からいきなり女の白い両手が出てきたんです。

美輪 手だけ?

横尾 手だけ。これで「ウワーッ」と思った途端に金縛りになったんです。そしたら、その手と、女の子と男から強い霊力がワーッと来たんです。そのとたんに、お経が聞こえてきたんです。僕の頭の中か、外からか判らないが、聞こえてきて唱和していくんです。唱和していったら、三人がスーと消えていったんです。それから慌てて下(ロビー)へ降りていったんです。

美輪 お経って、どんな。

横尾 お経なんて言えない、ただナムアミダブ、ナムアミダブのようなものなんですが、僕が言っているのが聞こえてきたのか、判らないんです。

美輪 それは、横尾さんの宗派じゃないんですか。

横尾 僕は浄土真宗と神道ですから……。でも普段ナムアミダブツなんて言ったことなんか無いんですよ。


 ● 見る人と見ない人の違いは?

美輪 テレビと同じよ、チャンネルの周波数が違うでしょ、だから受け手の受像器の周波数が、NHKに合っていればNHKが映るでしょ、例えばここに5人いれば、5人が同じ周波数になっているとは限らないでしょ。たまたま2人4チャンネルに合っていれば、2人はそれが見えて他の人は見えないの。それはみんな持っているの。只、合わないから見えないだけなの。
                                       (第2回に続く)