丹波哲郎が語る「死後の世界の実相」

〜第63回〜
《2006年9月》



        『週刊大衆』連載
                  平成16年11月8日からの連載記事から

          この連載は1冊の本にまとまり全国書店で販売中
 
    タイトル『オーラの運命(さだめ)』双葉社 税込本体1575円

    宇宙に訊け(そらにきけ) 其の十六

カネの心配は一切いらず、
自分の才能を磨ける場所、それが、霊界だ。


      ★ 霊界の宣伝マンが薔薇色の「死後」を説く ★

 私が生まれた丹波家というのは、まあ、俗にいうところの名門の部類だ。家に伝わる系図によれば、最初に「後漢十二代霊帝」と書いてあるんだ、これが。

 そこから、なんとか王、なんとか王と6代くらい続いて、祖先は日本に帰化したことになっている。どうやら日本で薬草を栽培するために帰化し、朝廷から丹波の土地を拝領したことから丹波が姓となったらしいんだよ。

 要するに、わが祖先は朝廷直属の医者、あるいは、いまでいうところの薬学博士だな。
 侍の家系なら、長い年月のうちに、激しい浮き沈みやお家断絶なんてことも考えられるさ。しかし丹波家は朝廷直属の医者だから、そんなこともなく、今日まで続いてきたわけだ。

 系図が、これだけの年月、しかも正確に伝わっているということでは、日本でも指折りじゃないかな。

 以前、この系図がテレビでも紹介されたことがあった。系図が書かれた巻物は、スタジオの端から端まであるくらい長いんだ。

 前にも話したが、祖父は東大名誉教授で、数々の特効薬を開発し、世界を股にかけて儲けたうえ、薬事法をつくって勲章(正三位勲一等瑞宝章)をもらい、男爵にまでなった人物だよ。

 駒込に広大な土地と屋敷を持っていたんだが、さらに、新宿、大久保の.一帯を「ツツジがきれいだったから」、全部買ってしまったというんだから、スケールはデカいな。

 その祖父が死んだ後は、祖母が絶対的な権力と財カを引き継いだ。その息子、つまり私の親父たちの兄弟だな。彼らは生涯、祖母からもらったおカネで暮らし、働くということ
をほとんどしなかったんだ。

 さて、これがいいのか、悪いのか。私も子供の頃から、おカネで苦労するということがなかったよ。おカネと物を交換した記憶がないんだ。オモチャ屋でもお菓子屋でも、指差せば、なんでもくれる。当然、あとで家に請求がいくんだろうが、そんなことは、子供の私は知らない。

 おカネを持ち歩く習慣はなかったんだ。
 この金銭感覚のなさは、長じても、あまり変わってないんだな。

 映画『大霊界』は、私と学研がおカネを出してつくった。で、諾君もご存じのように、爆発的な大ヒット。まあ、相当儲かったわけだよ。それで今度は持っているおカネすべてを注ぎ込んで『大霊界2』をつくったんだが、これは大いなる赤字となった。しかし、私は気にもしな〜い。映画を通して霊界のことを世に知らしめるのは、私の使命だからだよ。

 あるいは、私の家にはさまざまな客が訪れる。彼ら、彼女らが家の中のものを欲しいといえば、なんでもあげてしまうんだ。コートや靴、本や撮影で使った小道具……。気がつくと、家の中のものはどんどんなくなっている。でも、それでいいんだ。

 どんなにカネや物を持ったところで、あの世には持っていけない。それくらいは諸君もわかるだろう。だから、金銭感覚に欠けるというのは、ある意味で霊界的ともいえるな。



       あの世では、台所、寝室どころかトイレも不要


 ただし、おカネは無闇やたらと使えばいいというものではないぞ。人から借金したり、あくどいことをやって稼ぎ、それを自分の享楽的生活のために使うなんていうのはもってのほかだ。おカネは世のため人のため、そして自分の使命を果たすために使ってこそ価値があるんだ。

 そもそも霊界には、おカネなんてものは存在しない。財産や資産なんて発想もな〜い。

 たとえば、人間界にいれば、たいていの人が広い家、豪華な家で暮らしたいと思うだろう。

 
霊界では、以前にもいったように望みは簡単に達成できるから、大豪邸や豪華な食事は思いのままのはずだ。

 ところがだ、ほとんどの霊界の家というのは諸君が想像する以上に小さいんだ。一見したところでは、茶室のつくりによく似ているな。広さは4畳半から6畳程度。しかも、見事なくらい何もなくてガランとしている。

 なんだか、寂しそうだって? バカをいっちゃいかんよ。よく考えてみたまえ。霊人というのは食べ物を必要としないから、まず台所は不要だよ。当然、排泄行為なんてものもしないからトイレもいらない。さらに、霊界には夜というものがないし、霊人は眠ることがないから、寝室だっていらないんだ。

 要するに、人間界で私たちが使っているような、さまざまな生活用具はほとんど必要な〜い。だから、飾りも何もない、それこそ茶室のような部屋が霊人にとっては最も合理的で、住みやすい空間になるわけだよ。

 .生活空間が小さいからといって、霊界全体が狭いわけじゃないぞ。

 人間界の大きさを野球のボールにたとえれば、霊界は君がいる部屋全体ほどの大きさといっていい。霊界という大宇宙の中に、人間界がぽっかり浮かんでいるようなものさ。だから、霊界が霊でいっぱいになって過密状態になるなんてことは、絶対に起こり得ないんだ。

 人間界では、人口がこのままのペースで増えると、地球の食料も資源もすべて枯渇してしまうなどと騒いでいるが、霊界では考えられないことだ。スケールの次元が違うんだよ。
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 また、人間界ではゴミの問題も深刻だ。増え続ける一方で、近頃は捨てる場所もなくなってきたというじゃないか。しかし、霊界にはゴミ問題なんて存在し得ない

 先ほどいっ.たように、霊人は食事をしないから、食料はもちろん、炊事もしなくていい。ゴミが出る道理がない。ゴミが出ないから掃除もいらないんだ。着るものだって、自分の意思で瞬時に新調のものと着替えることができてしまう。洗濯なんてしなくていいわけだ。

 どうだ、いいだろう。霊界には家事・雑用がないんだよ。人間界で炊事・洗濯・掃除に追われる主婦、あるいはひとり暮らしの諸君は、家事からは完全に解放されるぞ。これまで家事に費やしていた膨大な時間は、自分の才能を磨くために使えばいい。それが霊界なんだよ。

                                      次号に続く