丹波哲郎が語る「死後の世界の実相」

〜第57回〜
《2005年11・12月号》



        『週刊大衆』連載
                  平成16年11月8日からの連載記事から

          この連載は1冊の本にまとまり全国書店で販売中
 
    タイトル『オーラの運命(さだめ)』双葉社 税込本体1575円

    宇宙に訊け(そらにきけ) 其の十

現世ではセックスも修行。畑を耕すように励むべし。


  
  ★ 来世の宣伝マンが薔薇色の「死後」を説く


 私は、自分で自分を採点すると、45点くらいの人間だと思っているよ。50点を普通の人の平均と考えての点数評価だから、平均以下の人間だということだな。まあ、自分自身に人に誇るような取り柄があるとは思えないわけさ。
 しかもエッチでもあるんだ、これが。小さい頃から、女性は大好きだよ。ひょっとすると、エッチが私の取り柄かもしれんな。
 お医者さんごっこなんていうのは、得意中の得意だったね。〃患者〃がいないと、すぐに外に探しに行くくらいだったから、まあ始末に悪いよ。
 長じても、女性にモテたいという願望はずっと強かったな。幸いにして役者になれたから、まあ、そこそこ、いい思いをしたほうかもしれない。外国映画に出演したおかげで、海外の女性ともつき合ったよ。

 海外では「シベリアの狼の目」だとか「東洋のプリンス」なんて形容もされたくらいで、日本にいるとき以上に、モテたといえるだろうな。
 ただし、自分から女性を追うということはしないんだよ。口説くこともしない。〃来る者拒まず、去る者追わず〃というが、来る者は気に入った相手なら拒まない。去る者はまったく追わない。これはもう持って生まれた性格だから、いかんともしがたい。
 気に入った女性は拒まないという意味では、浮気者といわれても、しかたないだろうね。
 ただ、霊界について長年研究してきた者として、こういうことはいえるな。エッチであることは、少しも恥じることではな〜い。性欲というのは神が人間に与えた大切な本能なんだよ。「禁欲生活をしなさい」なんてことは、ひと一言もいってないんだ。

 前回も話したが、あの世の入口である精霊界に行くと、私たちは霊界に行くのか、地獄に行くのか、その審判が下されるわけだ。そのとき、性欲についても試される。セックスにのめりこんでしまうと、「こいつは」だめだと判断されるんだ。
 だから、精霊界に行ったときのためにも、この世でのセックスをおろそかにしてはいけないんだ。この世のセックスを一生懸命やってこそ、精霊界の審判にもパスできるんだよ。

 もともと、セックスというのは凄まじいエネルギーを放出するもんなんだ。愛し合った者同士が、忘我の境地でオーガズムに達したときの生命エネルギーたるや、想像を超えたものがあるといっていい。
 実は、こんな話があるんだ。
 釈迦が病気の子供を抱えてやってきた母親に向かって、「その子を治すために、お前を抱いてもいいか」といったというんだな。で、釈迦と母親は火の出るようなセックスをしたそうだよ。するとだ、その子供はすっかり病気が治ったというんだ。


   ★ 色情因縁なんて教えは霊界的にはおかしいね

 
 まあ、この話が真実か否かはわからないよ。嘘かもしれない。事実かもしれない。
 だが、日本にも、これと似た語はあるぞ。

 1年近く、いろんな病院を回ったのだが、治療が叶わず、どの医師にもサジを投げられた9歳の男の子を抱えた夫婦が、最後の最後に、ある霊能者に望みを託したというんだ。霊能者はその夫婦に、こう告げたそうだ。
「お子さんの横で、お子さんを助けることをひたすら念じながら、真剣にセックスしなさい」
 夫婦は霊能者の言葉にわが耳を疑ったが、藁にもすがる思いだったんだろう。これを実行したわけだ、まあ、どんな夫婦も年月が経てば、セックスなんてマンネリ化し、ダレてしまうものさ。結婚している諸君なら、多かれ少なかれ経験があるだろう。この夫婦もそうだった。

 しかし、このときばかりは、子供を救いたい一心で、燃えに燃えるセックスをしたんだな。お互いの生命のエネルギーをぶつけ合ったわけだ。
 さて、翌朝のことだよ。子供が「おかゆを食べたい」といいだしたんだ。以来、その子供の容体は一気に好転。1ヵ月後には全快したというんだな。
 この話を、どう解釈するか。男女が真剣に愛のエネルギーをぶつけ合ったことで、子供の衰弱した生命のエネルギーをカバーした……私なら、そう考えるな。

 先の釈迦の逸話もそうだが、セックスには猛烈なエネルギーがあるんだ。エネルギーの源みたいなものだから、使い方によっては大きなメリットが得られる可能性もある。だから、やる以上は不まじめにやっちゃいけないわけだ。それこそ畑を耕すように、一生懸命セックスせよ、ということだよ。

 色情因縁と称して、性欲について否定的な教えを口にする人間もいるが、これはおかしい。霊界からの視点に立てば、セックスはもっと肯定的に考えるべきものなんだ。
 男というのは、だいたい〃飽きる〃動物ではあるんだよ。一般的にいって、夫婦の夜の行為がうまくいくのは、結婚して4〜5年がいいところだろう。

 セックスの回数がだんだん減り、2日に1回だったのが、1週問に1回になり、さらに1ヵ月に1回、3ヵ月に1回となっていくのは必然的なことなんだよ。
 こういう事態を避けるためにも、ときには〃性の冒険〃が必要かもしれないな。これによって夫婦円満、性の充実感を取り戻したという例もけっこうあるんだよ。

 しかし、いまは夫の〃性の冒険〃について、知っていて知らぬふりができる女性は少ないだろう。あるいは、必死で冒険するあまり、浮気が本気になるケースだってある。上手な遊び方を知らない男が増えたという気はするな。
 しかも、誰もが、いとも簡単に離婚してしまうのがいまの世の中だ。
 いずれにしても、セックスに励むとともに、大いに悩み、苦しむことだ。それも現世における修行だと思うことだよ。

                                       《次回につづく》