丹波哲郎が語る「死後の世界の実相」

〜第56回〜
《2005年9・10月号》



        『週刊大衆』連載
                  平成16年11月8日からの連載記事から

      宇宙に訊け(そらにきけ) 其の九

残存性欲の森でのめり込まないために
現世で真面目にセックスするべし。


  
  ★ 来世の宣伝マンが薔薇色の「死後」を説く


 人間の基本的な本能とは何か、皆さんはは知っているかな。

 それは自己保存欲、食欲、性欲の3つだ。

 霊界は人間に、この3つを与えたわけだよ。しかし、あの世の入口である精霊界に行くと、当然のことながら、まず自已保存欲は消滅してしまう.。
 肉体から魂が離れ、もう死ぬことの不安はなくなるんだから、当たり前だ。それくらいは、ちょっと頭を働かせれば想像がつくだろう。

 食欲というのも、人間界の長年の習慣みたいなもので、時間が経過するにつれて、だんだん消えていくんだ。まあ、物欲なんてものも同様だな。たいていの人は、なくなってしまうよ。

 さて、残るのは性欲だ。こいつがなかなかどうして、やっかいな問題なんだ。

 というのも、精霊界でのセックスは、最高に気持ちがいいらしい。五感が人間界にいた頃の50倍、60倍にもなっているんだから、性的な感度は、想像を絶するくらい高まってい
ると考えて、まず問違いない。

 しかも、だ。70歳、80歳になって死んだ人でも、精霊界に行くと急速に若返り、20代の肉体になっているんだ。かつ、五体健全。どこにも悪いところがな〜い。長い闘病生活の末に死んだ人であっても、その病気を、向こうの世界で引きずることは絶対あり得ないんだ。.

 そのうえ、すべてが自由で、気ままで、なんの拘束も罰則もな〜い。人間界にあった道徳観や倫理観やタブーからも、まったく開放されてしまっているわけだ。さらにもって、好きな者同士は、きわめて簡単に相手を見つけてセックスできるんだからな。好みの相手とは、黙っていても接近してしまうんだ。

 巨乳が好きだという男は実際に胸の大きな女とセックスできるし、背が高くて、たくましい男に性欲を感じる女は、まさに、そういう男とセックスできるんだから、そりゃあ、楽しいだろうよ。人間界では夢に見こそすれ、現実には叶わなかった異性ともセックスできる
わけだ。

 まさに、セックスやり放題。性のパラダイス。このパラダイス、を残存性欲の森と名づけた霊界研究者もいる。まあ、この森に行けば、最初は私でなくても、誰だってルンルン気分になるはずだ。

 当然、ここで、どんどん残存性欲の森にのめりこんでしまう者もいるわけだよ。しかし、残存性欲の森にハマりきってしまうと、霊界行きの道が断たれてしまうんだ。

 なぜなら、性欲は人間界特有のものであって、霊界ではまったく必要ないからだ。そもそも霊界では、子孫を残す必要がないんだよ。

 読者の中には、疑問を持つ人もいるだろう。肉体がなくなったにもかかわらず、性欲が残るのはおかしいじゃないかと。それは、こう考えるとわかりやすい。



   ★ 精霊界では快感が50倍以上に膨らみ欲情する

 昔、喜劇役者のエノケン(榎本健一)さんが壊疽を患い、足を切断したことがあったんだ。そのとき、エノケンさんは足がなくなったのに、ないはずの足の指がかゆい感じがするというんだよ。これは、肉体がなくなっても、人間の思いや感覚は残るという、ひとつのわかりやすい例だな。

 精霊界に行って、肉体が消えても性欲は残るというのも、これに近い。人間にとって、セックスで味わう感覚というのは、それくらい忘れられないものなんだよ。

 精霊界における性欲について、世界的に有名な心霊科学研究者のフレデリック・マイヤースは、こんなことをいっている。少々、堅い文章だが、引用させてもらうぞ。

 「すべてが解放状態の中で、己を抑えるのはまことに難しい。こうして、同種の相手は、おたがい強く引きあい、性的楽園というものが出現する。それは彼らの記憶と空想からつくられた快楽なのだ。やがて、飽満しては、倦怠を感じ、次第に嫌悪と不満を持つようになる。そして、やがては、生活の転換を求める心が起きてくる」

 まあ、簡単にいうとだな、最初は気持ちよくても、そのうちセックスに飽きてくるということだよ。

 たとえぱ、いくらセックスの相性がいいといっても、快感の持続時間は同じじゃないからな。こっちが飽きても、相手はまだ快感の真っ最中ということだってあるわけだよ。自分は早く終わりたいのに、相手は離してくれない。こうなると、苦痛以外の何ものでもないな。

 そういう苦痛を感じるようになれば、この残存性欲の森から抜け出せる日も近いわけだ。フレデリック・マイヤースが「生活の転換を求める心が起きてくる」といっているのはそういうことなんだ。いつまでも、こんなところで道草を食ってい.たら霊界に行けないわけだよ。のちのち説明するか、霊界というのはもっと崇高で、もっと深遠で、もっと素晴らしいところなんだ。

 生きているうちに真面目にセックスに励み、ときにセックスを含めた人間関係に悩むというのも、現世の修行ということだ。その修行をおろそかにすると、精霊界に行って苦労
するんだよ。

 最近は、 セックスをしない夫婦や恋人というのが、どんどん増えているそうじゃないか。こういう連中は精霊界に行くと危ないぞ。おそらく残存性欲の森にのめりこんで、そこから抜け出せないだろう。

 セックスは嫌いだ、不潔だなんていってるヤツも、精霊界では快感が50倍以上になるんだ。どんなに抑えようとしても、性欲を抑えられないはずだよ。そもそも男女が寄り添えば、欲情するのが当たり前なんだ。

 そこへいくと、週刊大衆という雑誌はいいな。人間の欲望に正直だよ。ハダカの写真が中途半端じゃない。

 こういうハダカを食い入るように眺め、セックスに精を出している男性なら、残存性欲の森に行っても、まず大丈夫だろう。私が保証するよ。
                                       《次回につづく》