8.〃満足な死〃意思表示は可能か?

  「満足そうな死に顔であった」とか「さぞ心残りであったろう」などと生者は勝手に表現しますが、
  死者自身、満足して死んだかどうかの意思表示は出来るでしょうか。


 これは私自身の体験として、母親の死の際、
まさに満足して死んだことを伝えるメッセージを私は受け取っている。
 それはお通夜の晩のことで、
私は母親の死に顔を眺めながら遺体に寄り添うようにして肘枕で寝ていた。
 すると、背後の方でリンリンリンと鈴の音が聞こえてきたのである。
 初めのうちは、ストーブにかけたやかんでも鳴って

いるのかと思ったが、振り返ってみると、やかんなどはのっていない。
不思議なこともあるものだと首をひねっていると、またリンリンリンと妙な音色が聞こえてくる。
その時、私はようやく、これが母親からのメッセージであることに気がついた。
満足して死んだことを私に伝えるための音=通信だったのである。
 というのは大不満の下に死んだ者は、
何か破壊的な物音を立てたい衝動に駆られ、
満足裏に死んだ者は何か美しい音色を立てたいという願望に駆られるということを、
近似死体験者の報告から幾例も聞いて知っていたからである。

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