77.地獄は存在するか?

   悪事を働けば、「針の山」や「血の池」の地獄に墜ちるといわれますが、
   本当にそのような恐ろしい地獄は存在しますか。


霊界は、すべてイマジネーションの世界である。
そして相応の原理によって成り立っている。
従って、まず、心の中に〃地獄〃を持つ者は、
死後世界においても〃地獄〃は存在するし、逃れられない、といえる。
では、どのような「悪事を働けば」心の中に〃地獄〃を持つことになるか。
たとえば、殺人、盗み、強姦、詐欺といった明瞭な罪悪の他にも、
妬みや嫉み、過度の物欲、色欲、権力欲に身をおいたり、孤独に耽溺することなどがいけない。
ただ、いささかやっかいなのは、現世でのそうした〃目に見える〃行動だけで、
地獄に墜ちるか極楽・天国に行けるか、という簡単な話ではなく、
これにはさらに前世と深い関連のある〃業〃(カルマ)というものや、
いわゆる〃因果応報〃など、様々な要素が複難にからみ合ってくるのである。
一般的に〃因果応報〃というと、先に述べた〃目に見える〃行動だけが問題となって、
地獄に堕とされ、相応の報いを受けるものと考えがちだが、
本来は〃目に見えない〃要素までが含まれる。極端に言えば、
現世で実際の行動として殺人や強姦、盗みを犯さなくても、
ただ頭の中に思い浮かべただけでも罪となり、〃応報〃を受けて当り前、ということなのだ。
この〃地獄〃に堕ちる、堕ちないという原理・原則については、
ここではこれくらいの説明にとどめておくが、ただ、「悪事を働けば…」云々という単純なシステムで
決まるわけではないことを憶えておいて欲しい。

次に、「針の山」や「血の泡」の恐ろしい地獄は存在するかという問いについて述べよう。
地獄に対する「針の山」や「血の池」というイメージは、相当古くから民衆の間で、
いわゆる〃地獄絵図〃として描かれたものの名残である。
だから、今日では、いかにも荒唐無稽で陳腐なだけであって、
〃恐ろしい〃と感じさせるほどのリアリティも説得力も乏しいように思われる。
冒頭に述べたように、霊界の一部である地獄もまた、イマジネーションの世界であるから、
現代人の我々の想像力に訴えかける〃地獄像〃は、もはや「針の山」や「血の池」ではなく、
もっと別のカタチのものであると私は考えている。
しかし、ある人びとにとっては、今日でもなお「針の山」や「血の池」こそが地獄であるかもしれない。
そうした人びとにとっては、やはり「針の山」も「血の池」も存在し得るといえるのだ。
つまり、その人間にとって、リアリティを感じ、恐ろしいと感じる世界が、
彼にとっての〃地獄〃ということなのである。
そして、それが本当に恐ろしいのは、悪夢なら寝汗をかいて醒めることができるのだが、
〃夢のまた夢〃である地獄界に堕ちてしまったら、決して醒めることがないからだ。
氷遠に〃悪夢〃の中をさまよい続けなくてはならないからなのだ。


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