16.土葬と火葬と、どちらが望ましいか?

   地方によって土葬のところがまだ若干残っているようですが、
   土葬と火葬とでは死者の霊にとってどちらが望ましいのでしょう。


 どちらが望ましくて、どちらが望ましくないということはない。
これはあくまで民俗的あるいは宗教的な風習の違いだけである。
 古代の墳墓などを見てもわかるように、一般的にいって古くは土葬が多いが、
火葬もまた先史時代に始まっている。
 特にインドのアーリア人たちは、死者を焼いて煙として立ちのぼらせ、
天上の祖先の人たちのもとに送りとどけるという意味から火葬を始めたのだそうだ。
 日本では仏教の渡来によって始まっており、700年に道昭が遺言によって火葬されたのが先例だという。
民衆の間で一般化したのは江戸時代に入ってからのようである。
 しかし、今日でもキリスト教や儒教など火葬を認めない宗教もある。
 土葬も火葬も死者の霊にとっては全く関係がない。

 清水康益社のホームページ( http://www.shimizukouekisha.jp/dosohahorithudekinshi.html)に掲載されているが、
「東京都や大阪府などの大都市では、条例によって一部地域を除いて土葬を禁じている。
しかし、『墓地・埋葬などに関する法律』の上では、土葬も火葬も平等であり、
どちらを選ぶかは遺族の判断や故人の意思によるとされている。
 しかしながら、土葬より火葬が圧倒的に多いのは、背景に様々な事情があるからなのだ。
 その一つに、墓地管理者が土葬を認めたがらないということがある。
 禁止条例のない地域で、墓地管理者が納得した場合、
あるいは 私有地に墓地がある場合土葬が可能となるようだ。
 しかし、現実的には土葬は年々減少しているのが現状のようだ」

 民俗慣行としての土葬では、手足を折り曲げて竪棺に納めて埋葬するのがふつうであった。
 寝棺に納めるのは、庶民の場合には異常死の場合であったと思われる。
 この竪棺(いわば屈葬である)形式は、絵巻物などからみると、
近世さらには中世にまで遡るのではないかと推測される。
 縄文時代の屈葬につながるのか否かは、資料不足で断定出来ない。
棺は木棺が多いが、時代や地域により甕(かわらぶきの屋根)も用いられる。
埋葬のための穴掘りは葬式組によるが、以前にはオンボウが穴掘りしたところもある。
穴の深さは地域や時代により変化が見られるが、きわめて浅いところもある。
埋葬した地点の土を盛り上げ芝を敷くところ、適当な大きさの石を敷きつめるところもある。

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