15.〃末期の水〃の意味は?

   臨終間際あるいはその直後に
「末期の水」とか「死水」と呼ばれる水を
   死者の口に捧げますが、どういう意味があるのでしょう。


 仏典『長阿含経』の中に「末期の水」の由来となる話がのっている。
「末期を悟られた仏陀は弟子の阿難に命じて、
口が乾いたので水を持ってきて欲しいと頼んだ。
しかし、阿難は河の上流で多くの車が通過して、
水が濁って汚れているので我慢して下さいと言った。
仏陀は口の乾きが我慢できず、三度阿難にお願いをした。
 その時、雪山に住む鬼神で仏道に篤い者が、鉢に浄水を酌み、
これを仏陀に捧げられた」とあります。
 この仏典の故事が、いつしか民間習俗として定着したわけだが、
その意味づけには諸説あって、「死者の魂を呼びとめて蘇生させようとする、
いわゆる〃魂呼び〃という呪術的儀礼」とみる説や、
「この世に魂をつなぎとめようとする観念の現われ」とみる説などが知られている。
 いずれにしても、この世との訣別の瞬間を肉親に見守られて往生したいという死にゆく者の願望と、
もう一度生き返って欲しいという遺族の願望がこのような習俗のカタチになったものと言われている。。

質問一覧に戻る