12.死装束を左前にするのはなぜか?

   遺体の、いわゆる
〃死装束〃は左前に合わせますが、
   これは死者の霊にとってどういう意味のあることなのですか。


 結論を先に言えば、霊にとっていかなる意味もない。

 一般的に死化粧が済んだら死装束を着せます。
 仏式では経帷子、神式では白い小袖が伝統的な死装束とされる。
しかし最近では、新しい寝間着、愛用していた洋服や着物を着せることが多くなってきたそうだ。
 男性の場合は、燃えやすいものであれば愛用のパイプや手帳、
女性であればハンカチなどを持たせているようである。
 これは霊にとっていかなる意味もない。
これも単なる、民俗的、宗教的な習俗に基づく〃死者儀礼〃のひとつに過ぎない。
この他、お棺を家の中から運び出す時に普段使われている出入口を避けて茶の間や縁側から出すとか、
日本以外でも様々な風習が見られるが、その多くは、死者を穢れとして畏れ、
二度と不幸が訪れるのを避ける意味から、わざわざ常態と正反対のことをやったのが、
いつしか形式として定着したようである。

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