11.死者に持たせる〃六道銭〃の意味は?

   死者になぜ〃六道銭〃というものを持たせてやるのですか。
   三途の川を渡る時の渡し賃だと教えられましたが、本当ですか。


 この風習は日本だけでなく、ヨーロッパ各地でも行なわれているようだ。
 死者に貨幣または貨幣代わりの紙銭(六文の場合が多い)を持たせてやるわけで、これを〃六道銭〃(六道とは仏教の説で、生きものが輪廻する地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天の六つの世界のこと)と呼んでいる。
 では、なぜ死者に貨幣を持たせてやるのか。

 日本で広く流布されている説は、死者が三途の川を渡る時の渡し賃だという。
 しかし、他にも死者の小遣銭だとか、この世に出てきて飴を買って食べる代金という説もある。
 ギリシャでも、死者がハデス(冥界)に入る際に渡る川の渡し賃だといわれているそうで、
日本と類似しているのは興味深い。
 〃六道銭〃の由来について、現在のところ定説とされているのは、
起源からいえば「死者の全財産を買いとるための代金」であったということのようである。
 つまり、死者の所有品に手をつけることは、留守宅の品物を勝手に持ち出すのと同じである。
それを、もし死者が見ているとすると、怒り狂って恐るべき結果を生むかもしれない。
 そこで、死者にその一部分を象徴として与えたり、あるいは死者から買いとったりする。
 それが死者に与える貨幣の意味であり、〃六道銭〃の由来ということである。
 しかし、あくまでもこれは、今までの儀礼的なものであり、
心霊科学的には、何ら意味のあることではない。
 あくまでも、死者に対する温かな心遣いであるわけだから、
このような〃死者儀礼〃は、本来の意味を知ったうえで行なえば、
さらに心のこもり方も違ってくるといえるだろう。

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